「有名な理髪店?ああ、それなら一本後ろの通りを真っ直ぐだ。看板が下がってるから歩けばすぐ分かると思うよ」
大通りの一本後ろ、行き交う人々の喧騒を少し遠くに感じる通りの中ほどにコーデル・マッカランの理髪店はある。
まばらなはちみつ色をした石畳の道は夕方から降った雨でしとどに濡れ、はちみつから濃い茶色に色を変え夜霧に頼りなく揺れるガス灯の明かりを歪んだ鏡面のように鈍く反射している。
そんな通りの風景とは相対するように、理髪店の広く取られた窓からはLEDの真昼のような白い光が煌々と溢れ、店の前を照らしている。
シンプルだけれど洗練された店構え。躊躇したようにドアノブに手を伸ばした女性は意を決したように扉を開くと、耳に喧しくなくけれど高く静かに響くウィンドウチャイムが来客を店主に伝えた。
__おやおや、これは!
ようこそいらっしゃいました、本日最後のお客様。
今日はトリートメントと全体的な整えになさいますか?その美しい藍の髪でしたら、レイヤーをいれて素材を活かすも流行りの巻き髪を試すのもよろしいですねぇ!
まあ、なんと……思い切ってショートになさるのですか?
はあ……失恋を……。
失礼ですがお客様、出直してはいただけないでしょうか?夕闇時にはどんな考え事もネガティブになっていけません。
その失恋とやらの相手がどんな男か女かは存じ上げませんが、貴女様の月光を宿した海のように滑らかで美しいシルクにハサミを入れる価値はないですよ。
さあ、今夜はサービスでアロマトリートメントをさせて頂きます。明日、陽の出てる時間に甘い物でも召し上がってから出直してください。
そうじゃなきゃ、私のお客様ではないですね。
美しく、愛らしく、格好良く、品良く。
日々椅子に腰掛けた者は代わる代わる様々なものを所望する。
本人の希望とそれが本当に見合うのかをプロとして見極め、進言し時には断る。理髪師としての腕と技術だけではなく、審美眼とセンス……そして己の密やかな望みを込めての接客。
そんな人間達を映し出す大きな鏡を磨き、ハサミを研ぎ終えたら売上の計上に店全体のチェック。
日々の雑務は他のスタッフ達も行っているが、愛用品の手入れや最終チェックは店主自ら行うのが店を構えてからコーデルのルーティンになっている。
「ああ……虫酸が走る、シルクをズタズタにする縫製屋がどこにいるんだ」
全ての業務を終え身支度をしながら、立腹したようにコーデルは大きな溜め息を吐いた。
店内の明かりを消し扉を開けると薄暗い通りに6月とは言え肌寒さを感じる夜風が吹き抜けた。思わず羽織っていた薄手の上着の前を合わせると、僅かに落としたコーデルの視界に細い影が映っている。
暗くなったショーウィンドウの前、ガス灯が影絵のように長い乱れ髪の女性がタバコを咥えているシルエットを石畳に落としている。
視線を上げたコーデルが隣を見るとシルエットをそのままに、色つきの気だるそうな女性が細い紙巻きタバコを吹かしていた。
「これはご婦人、随分と傷んだ髪をされてますね。よろしければ特別に無料で少々整えましょうか?」
声をかけられ初めて認識したのか、女性は小首を傾げ不思議そうにコーデルを見ると己の白い指を抵抗を感じさせる指通りの髪に通し緩く笑った。
「なぁに?こんなネズミに営業でもかけてるのかしらぁ。でも髪にかけるお金があったら流行りの服でも買うの、ごめんなさいね」
本日二度目の大きな溜め息を吐くと先程よりも腹立たしそうに、そしてそれをあまり隠さずにコーデルは女性を上から下まで眺めて語気を強めた。
「そんな貧素で、みすぼらしい頭で、私の店前に立たれたら迷惑だって言ってんですよ。……失礼しました、あんた、1時間いくらですか」
「そうねぇ……旦那さんなら100ポンド」
「随分緩い為替ですねえ……わかりました、1時間買います。どうぞ、店にお入りなさい」
呆れた様子のコーデルが促すように手を店内へと雑に向け、女性はまた不思議そうに小首を傾げ問いかけた。
「あらぁ?宿じゃなくていいの?そう言うご趣味なの?」
「おやめなさい、慰めで買ったわけじゃないですよ。その流行りの服とやらより第一に、そしてなによりも廃れず美しく輝くものを教えて差し上げます」
扉の前で様子を伺う女性を尻目に、店内の明かりを再び灯し振り返ると自信たっぷりにコーデルは舞台に立つ演者のように仰々しい礼で今夜最後のお客様を迎え入れた。
「あんたのようなご婦人を、ポルナイからヘタイラにしてみせますよ」
「ポルナイ?ヘタイ?」
「そこからですか!あのねえ、娼婦なんだからそれくらい知っておいたらどうですか。……もういいですから、とりあえずお座りなさい」
「はぁい、怒りっぽいのね旦那さん」
女性が指さされた椅子に腰掛けると、コーデルは流れるように柔らかいブランケットを膝にかけ椅子を倒し顔にも柔らかな薄いガーゼをそっと被せ、軽くシャワーを出しながらぬるま湯よりも少し熱めにお湯の調整をする。
「客……まあ客ではないので、旦那さんはやめていただけますか。理髪師とか美容師とか色々あるでしょう」
「そうねぇ、理髪師さん。で、旦那さんのお名前は?」
「随分図太い娼婦ですね……コーデル、コーデル・マッカランです。で、あんたの呼び名もないと不便ですよ」
ガーゼの下からクスクスとシャワーの音に紛れ笑い声が漏れ、楽しそうに女性は答えた。
「お客さんじゃないなら内緒。でもそうねぇ、さっきの旦那さんからはフロイラインって言われたわ……なにかしらねぇ?」
「ドイツ語でお嬢さんですよ。まったく、お嬢さんって柄でも歳でもないでしょうに一体どんな節穴でしょうかね」
「理髪師さんきらぁい……あっつい、あついのよ……!」
シャワーの温度調整のノブをひねりながら今度はコーデルが少し意地悪く笑うと、ガーゼの下から気の抜けた苦情が飛んでくる。
「さあ、これでシャンプーは終わりです。髪は……傷んでる部分が多いので一度ミディアムボブまでカット致しましょう」
椅子を起こしブローの準備をしながらきびきびと飛んでくる声に、フロイラインは胸元まである髪を指で巻きながら不満気にコーデルに返した。
「そんなに短くするのねぇ……」
「安心なさい。これからそうですねえ……6ヶ月間、毎日ここに通ってもらうんですから。最終日には鎖骨下まで余裕で伸びていますよ」
「あらぁ、そんなに毎日するの?」
「言い方に語弊がある。先払いで半年分、色をつけて渡します。スケジュールを乾かしながら説明するので、よく聞いておくように」
__まず、毎日23時に店に来ること。
毎日髪質に合ったシャンプーを必ずします。
週に一度ヘッドスパとフェイシャルマッサージも。良い髪には血流の滞りは言語道断です。月に一度は季節と髪質を加味したトリートメントもしますよ。
はぁ?23時が不満ですか……?
客を取ってるんですから夜遅くにもなるでしょうけど、睡眠時間こそ良き髪には必要です。その分の色をつけた前払いなんですから、23時は私からの最大の譲歩ですよ。文句を言うんじゃありません。
では、次は……
「待って理髪師さん、まだあるのぉ……?」
「黙って聞いてらっしゃい」
__次に、食生活と睡眠です。
先程も言ったように睡眠こそです。
23時にここに来て、終わったら真っ直ぐ帰りすぐに眠りなさい。0時にはベッドに、ゴールデンタイムですからね。
食事はタンパク質を意識して摂取するように心がけていただきます。飲むのであればポリフェノールの多い赤ワインを。
食事にも気をかけられるように代金に含んでありますから、サボらないように。
どの道、手を抜けばすぐに分かりますからそのつもりで。
「0時を目指すなんてシンデレラみたいねぇ」
「フロイラインにシンデレラですか、また随分とお花畑みたいな……。でも灰被りは頭髪にはよくなさそうですね」
「あらまぁ、随分短くなったわね……。似合うかしら」
コーデルの長い注意事項とこれから6ヶ月続くスケジュールを聞いている間に、フロイラインの長い髪は肩につくかつかないかの位置でくるりと内側にカールし、鏡の中で愛らしいバーミリオンのミディアムボブを揺らしている。
「私を誰だと思ってるんですか、似合わないわけがないでしょう。さ、終わったら席を立つ。さっさとお帰りください」
「はぁい」
これが、その夜から続くコーデルと名のない娼婦フロイラインの不思議な逢瀬の始まりだった。
次の晩もフロイラインは23時に訪れ窓際の席に座ると、その日はとても痛いフェイシャルマッサージととても不味い酵素ドリンクを飲まされ半泣きで帰路についた。
その次の晩はいい香りのアロマオイルを使ったヘッドスパに、しっとりとしたトリートメントをされ夢見心地のまま眠りに就いたのをコーデルに叩き起こされ娼館の近くまで連れて帰られた。
来る夜も来る夜もきっちり23時にコーデルが店の扉を開け、フロイラインがそれに緩く「こんばんはぁ」と挨拶をしながら店の扉を潜る。
1時間近くを無言で過ごすこともあれば、フロイラインが身の上話や変な客の話をしたり、コーデルがお小言やとりとめもない話をすることもあった。
「なんだかねぇ、最近肌艶も良くなったのよ」
どどめ色の不味い酵素ドリンクから逃げるようにフロイラインが上機嫌に話し出した。
「これだけ血流を良くしたりデトックスや食事睡眠に気をつけていますからね、全身にいい効果が出て当然でしょう」
「この不味いのも効果あるのねぇ……」
「分かったら早くお飲みなさい、諦めが悪いですよ」
鏡に映るとても悲しそうな目を伏せると小さなグラスを一気に煽り、フロイラインはなんだか酷い目に遭った風船の空気が抜けるような音を出した。
「ありがとぉ……」
コーデルから受け取った水を飲み干し、空になったグラスを遠ざけるように指先で押しやるとフロイラインはふと、遠くを見るようにぽつりと呟いた。
「野良犬以下の塵扱いされる生活してたけど、そんな時でもこれより不味いものは食べたことないのよ」
コーデルは興味なさげに鼻を鳴らすと空になったコップと水のボトルを下げた。
「ま、飼い猫以上の生活している時でよかったんじゃないですか。味を誤魔化す飴だって、野良犬以下じゃ漁れないでしょう」
後ろからキャンディの包みを一つ、差し出すと嬉しそうに破顔したフロイラインがその手ごとキャンディをそっと包んだ。
「そうねぇ、こんな生活だったら不味いのだって我慢できるのねぇ」
23時
いつものように椅子に腰掛け鏡に向かっている間に交わす毒にも薬にもならない、明くる日には覚えてもないような他愛もない雑談。
「ホテルにタダで泊まれるの?楽しそうねぇ……」
今夜はコーデルが応募したホテルの話題で、思わずふわふわと空想するようにフロイラインが尋ねた。
「ええ、有名な老舗ホテルに招待客だけで7日間だとか。ちなみに、もう応募期間はとっくに過ぎていますからね」
「あらまぁ……でもいいわねぇ、そんな素敵な場所ならとびっきりのおめかししなきゃいけないわ。服はいつも上等だし、髪型でも変えたらいかが?」
羨ましいと言うよりも、そんな素敵な場所に行ける友人にあれこれと世話を焼く様に、あれかしらこれかしらと次々楽しそうに提案をしてくるフロイラインに軽く笑いながらコーデルは返した。
「気が早いですねえ、まだ1週間は先の話話ですよ。でも、おめかしですか……確かにそろそろ新しい髪型もいいかもしれませんね」
「理髪師さんだからやっぱり艶々で素敵な……」
毛先を整えられているそのままに、フロイラインがおもむろに自分の頭上後方に手を伸ばすとカットに集中して油断しきっていたコーデルの艷やかな毛先に指先がほんの少し、羽先が触れるよりも微かに触れた。
「触るな!!!!」
途端に弾かれたように飛び退き激昂したコーデルの怒号が鏡越しの鋭く切り裂くような視線とともに、咄嗟に目をぎゅっと瞑ったフロイラインへと飛んできた。
「っ……!ご、ごめんなさい、そんなに嫌だと思わなくって……怒らないでちょうだい……?」
「勝手に、私の髪に触れるな」
「本当にごめんなさい……ね、もう触らないから……」
思いもよらぬ強い怒りに肩をビクリと震わせ身を縮めると、鏡越しに視線を逸らさずフロイラインは恐る恐る謝罪を繰り返した。
コーデルは己の怒りを鎮めるように瞳を閉じると数回、深く深呼吸をして再び瞳を開けた。
「カットは終わりました。お帰りなさい」
「ねぇ、理髪師さん……」
「これでおしまいです」
鏡越しに強い拒絶の色を湛えた冷ややかな瞳がフロイラインの不安気な瞳とかち合う。
「これで、おしまいです。もう結構」
「でも、まだお代が残ってるわ……」
「前払いした金は好きに使いなさい、返せなどと浅ましいことは言いません」
かち合っているのにとても深くて遠いところにいるように、噛み合わない視線に暫しの沈黙の後「わかったわぁ……」と返事をすると、フロイラインは腰を上げ少し迷うようにドアノブを握ると堪らなくなったようにコーデルを振り返った。
「あのね、理髪師さん……あなたの髪、とても素敵よ」
言葉を交わす気もないように鏡を見つめたままのコーデルに、悲しげに呟くとフロイラインは今にも雪が降りそうな朔風に髪を一束かき上げられ薄暗い通りに消えていった。
翌日は朝から冷たい雨が降り続けていたからか飛び込みの客もまばらに予約客も少なく、本日最後のお客が帰った後スタッフ達の上がった店内でコーデルはいつもより気怠げに閉店作業を行っていた。
「はぁ……まったく、もう少しで完璧だったのに。雨のせいですかね、調子が悪いのが余計に腹立たしいですね」
大きな溜め息を吐くと忌々しそうに雨が打ちつけるショーウィンドウを睨みつけ、誰に聞かせるでもない愚痴を憎々しげに零した。
「ん……?」
睨みつけたショーウィンドウの先。
雨でいつもより頼りないガス灯に仄かに照らされた人影が、軒先で紫煙を燻らせ雨宿りをしている。
「なにしてるんですか」
呆れたように扉を開けると、コーデルは雨宿りをしている人影に声をかけた。
「23時には早かったかしらぁ」
「……もう終わりだと言ったはずですよ」
「髪がね、近頃お客にも評判になってきたのよねぇ。だから、最後までお願い、理髪師さん」
縋るように、でもイエスと言われるまで動かないとでも言うような頑なな視線に、根負けしたように額に手を当てコーデルは促すように雑に手をひらひらとさせた。
「はぁ……どのみち、そろそろ6ヶ月ですからね……仕方ねぇので、お入んなさい」
途端に顔をにこぉと緩ませフロイラインはいつもの席に小走りで腰を下ろした。
「ね、理髪師さん」
「なんですか」
「髪には触らないからもっと別の所触らせて」
緩い笑顔のまま鏡越しにフロイラインが視線を絡ませた。
コーデルは鏡を一瞥し鼻で笑うと、首元にタオルを巻きクロスを羽織らせた。
「なんです、そちらの営業はお断りですよ。あんたみたいな、人の内側にヒールでズカズカ入り込む三流娼婦は趣味じゃないです」
笑顔をきょとんとした顔に変えると、フロイラインはけらけらと肩を揺するように笑いだした。
「やだぁ、違うわよ。形あるものじゃなくて、理髪師さんの心に触りたいの」
今度はコーデルがきょとんとする番だった。そしてフロイラインからの妙な打診に合点がいったのか、すぐさま嫌そうな表情に変わると鬱陶しそうに軽く舌打ちをした。
「商売柄ですか……間抜けで学もないのに、人の心には妙に敏感。あーあー、まったく嫌になりますね」
「虐げられて無いものみたいに扱われて神様にも見られない者同士ね、その心に触らせて?」
生まれてからこれまで実際に誰かに向けられたこともない、いつかの宗教画で見たような慈愛にも似たフロイラインの瞳が鏡ではなく振り返った肩越しにコーデルをしっかりと捉える。
「シャンプーするんですから、前をお向きなさい」
「はぁい」
雨で濡れた髪にラベンダーの精油を垂らしたシャンプーを揉み込んでいく。
その次はいつもより重めのトリートメント、ブローをした後に冷えた肩を温めるように温タオルで包み入念にマッサージを。
この6ヶ月少しづつ変えながら続けてきた、いつもの2人のルーティンが静かに過ぎていく。
「明日……町外れの教会があるでしょう。そこで、23時に待ってます」
仕上げのブラシを通し、視線を絡まりを知らない艷やかな髪に落としたままコーデルが穏やかに投げかけた。
「なんなら先払い、しましょうか?」
途端にはしゃいだように声を弾ませ真上を見上げ、フロイラインは緩く満面の笑顔を向けた。
「いいわぁ、いらないの。ふふふ……じゃあまた明日もね、コーデルさん」
「変な気は起こすんじゃないですよ」
「あらあらぁ、コーデルさんもねぇ」
街中はそちらの通り、店の前、あちらの角で老若男女問わずヒソヒソと声だけ潜め隠し立てする気のない、とある話題で色めき立っていた。
「今度は娼婦が殺されたらしい」
紳士然とした身なりの男性が売店の男から新聞を受け取ると、一面を大きく陣取る事件に眉をひそめ呟いた。
「なんだか、最近指名が多いとか太客がついたとかで娼館でも有名だったんだろ?客に殺されたんだな」
紳士から代金を受け取り、今度は店の男が声を潜めて返した。
「それがですよ、いつもの髪が……」
「やだ怖いわね、エンディングヘアドレッサーが出たの?」
横からチョコレートバーを一本とポケットから出した硬貨を持った婦人が、同じく声を潜めおぞましいものを見たように腕を擦った。
「まいど。いや、なんでもね……何日か前にシルクみたいにツヤーっとした暗い紫髪の男が教会から出てきたのを見た奴がいるって、女房が言っててさ」
「なんだそれは、また髪の色が違うのか」
婦人がまるで殺人鬼がすぐ側で聞いているかのように、周囲をさっと見渡すとさらに声を潜め2人に顔を近づけた。
「この前聞いた話だけどね……」
恐怖と好奇心で盛り上がる大きな内緒話の中、斜向かいのフローリストから上機嫌に一人の男が出てきた。
薔薇、百合、色とりどりの花を重ねた自分の胸元を隠すほど大きく華やかなブーケを抱え、男はショーウィンドウに写る長い髪に指を這わせた。
「どうですか、とびきりのおめかし」
2つの色が一際目を引く、美しく奇抜なとびきりの「おめかし」を靡かせて、踊るように石畳を踏みしめるとざわめく通りに紛れていった。